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羽毛は、グース(ガチョウ)とダック(アヒル)に類別されます。
保温力と希少価値からいえばグースは高価になります。ダックは、あくまで北京ダックに代表される食材の副産物がほとんどなので、グースより安価になります。しかし、グースに劣らない保温力があるので、決して質が悪いというわけではありません。
グースの主な原産地は、北欧(ポーランド、ハンガリー)フランス、中国です。製品名に「カナディアン~」とか「マザー~」といった、原産地をイメージした製品名を目にしますが、原料ベースではポーランド産だろうが中国産だろうが、グースはグース。見分けはつきません。
そのため、やろうと思えば産地偽装も簡単にできてしまします(企業マインドですね)。
グースとダックは見分けられますが、顕微鏡で見ても産地の違いまでは分かりません。産地によって希少性はありますが、同等レベルの羽毛なら保温力の差はほとんどないのです。
そこで、国内で手間暇かけたこだわりの製品を提供することにしました。
それでは、「使う人の身になった商品」の工程をご案内します。
どの原産地でもOKというわけではありません。
寒い地区にいる鳥は、ダウンボールも大きくなりその分保温力も増します。そのため、弊社では極寒の地で取れるグレードのよい羽毛を使用しています。
事前に選別徐塵洗浄された1梱包25キロの羽毛をほぐし、13キロ程度にしてから購入します。小さいロッドで手間暇かけるため、大きな装置はいりません。その分、職人の目が必要となるのです。
13キロ程の羽毛を、2度に渡り徐塵します。
選別徐塵洗浄したにも関わらず、1回目の徐塵で12%、2回目は2%程度の量の塵がまだ出るのです。
そのほとんどが「小羽、泥、草、フン、餌」及び、それに含まれる化学薬品です。
こうした塵まで輸入単価に含まれているのですから、正直頭にきます。
徹底的に徐塵を行うことで、ダウンボールは大きく開き、品質のよい羽毛になるポイントです。
この工程は非常に大切です。
これだけの工程を手がけているからこそ、洗浄にも気を使います。
環境面にも配慮して、三重県大台ヶ原の伏流水で洗浄します。この水はクラスター(粒子)が小さいので、洗浄液をいれなくても十分な洗浄効果が期待できるのです。
また、70キロサイズの大きな洗浄機を使用せず、20キロサイズの小さい洗浄機で、13キロ程度の量を小まめに洗浄していきます。そうすることで、透視度1,000mmが達成できるのです。
透視度とは、どれだけ羽毛がキレイになったかの数値(証し)で、一般的に日本羽毛協会では500mm以上あればよいことになっています。
これだけキレイに洗浄すれば、羽毛特有の臭いも薄れ、衛生的になります。
ふっくらと乾燥させ、その後熱をゆっくりと冷却していきます。
この工程は、最終仕上げなので職人の目が光るところです。
品質を維持しながら最高の羽毛に仕上がるように、乾燥、熱殺菌処理を行います。
冷却工程では、まだ取り切れていなかった微細な塵を取り除いていきます。
これで、羽毛原料が完成です。
生地は、直接目に見え肌に当たる大切な素材です。
中身にいくらこだわっても、見た目が悪ければ職人泣かせになってしまいます。
弊社の生地は、エコテックス規格100のクラス1(乳幼児用製品ラベル)認証を取得した工場でプリント加工しております。これは、重金属類、発ガン性物質、アレルギー誘発物質を使用していないという証明です。また、通常は漂泊された生地にプリントするところ、弊社では生成り生地に直接プリントしております。
表面に多少綿カス(黒い斑点)が残っていますが、それは自然の証し。肌に優しく、環境にも配慮した生地なので、赤ちゃんの肌にも優しい生地です。
最近では、いろいろな縫製キルトパターンがありますが、弊社は現在、シングルサイズ(4マス×5マス)の20マス立体キルトを採用しております。
一番シンプルで羽毛の保温性を損なわないレベルであれば、わざわざ複雑なキルトを使用して高価にする必要性がないと判断したからです。
その分、原料の洗浄や素材にこだわりました。
また、リフォーム時もロス(解体時に複雑だと羽毛を採集しづらい)が少なく、経済的です。5年に1度はリフォームしましょう。目安は「ダウンパワーが減ったな?」というタイミングになります。
大変に大胆な作業工程です。
1マス1マス、丁寧に羽毛を機械で計量して、どんどん羽毛を吹込みます。
体に当たる部分は、多少吹込み量を多くし、サイドは少なめにします。
最近では単価を抑えるため、中身1.0キロが多くなってきましたが、弊社では1.3キロ充填しております。
100gの羽毛量は想像以上に違います。
ここでも「使う人の身になって」製品づくりをしています。
最終工程では目視と検針機によるによる検品を行い、商品が完成です。
高価な原料にこだわっても、売価が高くなるばかり…むしろ、よくて当たり前!
序章で説明した「何故安価な中国産なの?」の理由は、製造工程にこだわりがあります。
原料は普通以上で、こだわりと安心を追及するという、安心(A)、安全(A)、安眠(A)のトリプルAという概念からです。